平均寿命が100歳を超える?
人生100年時代と言われています。
いつか平均寿命が100歳になるとも言われていますが…。
平均が100歳ですから、100歳を超える年齢の人がいっぱいいるってこと。本当に現実になるかは分かりません。もしかしたら、食糧難や医療崩壊などで頭打ちで、逆に短くなるかもしれない。
しかし、人生100年だったらどうな感じなのかをイメージしてみました。
私が生きている可能性の高い80歳になる30年後の2050年には、100歳が70万人を超えると言われています。
その頃の平均寿命は男性が85歳、女性は90歳になると予想されています。平均寿命まで生きると仮定すると、私の場合は残りの人生は後40年もあるんですね。
ただし、健康年齢(病気がなく元気でいられる年齢)となると、女性は75歳くらいなのです。50歳の私でしたら、残り25年は元気に過ごせるという計算です。
75歳くらいから、だんだんと認知や健康に支障が出て、自分の身の衰えを実感。
寿命までの残り5〜10年くらいは誰かのサポートが必要になると言った感じでしょうか。医療の発達により、人の手を必要とする介護期間が伸びている問題もあります。女性の方が介護になってから亡くなるまでの期間が長いそうです。
超高齢化社会がやってくる
日本は、世界トップで超高齢化時代を迎えます。しかも過去に例のないほどのスピードです。それなのに、そのことを真剣に論じている人が少ないのは恐ろしい事態です。
これ、本当に現実に向き合うと怖いことです。
単純に、2050年問題と言われている人口ピラミッドを見ただけでも分かります。
2050年には、80歳前後が人口ピラミッドの頂点を極めます。


出所:国立社会保険・人口問題研究所より抜粋
これだけだと分かりにくいので、時代の変化をのせて比べてみるとその恐ろしさが実感できるかと思います。

ちなみに江戸時代の平均寿命は32歳から44歳。
昭和25年では、男性が58歳で、女性が61.5歳でした。
現代では医療の高度化により、信じられないほど、平均寿命が伸びました。当時からしたら夢のようなことですね。
しかし、今となってはその超高齢化が日本の大きな問題となることに。
人生100年時代は、決して喜ばしい事ばかりではありません。
60歳で仕事を引退となると、老後が40年もあります。
アイデンティティの見直し
人生100年時代を提唱したのは、『ワーク・シフト』『ライフ・シフト』の2冊の著作のイギリスのリンダ・グラットン氏。
新刊『ライフ・シフト』が日本で翻訳出版されました。リンダ・グラットン氏は「人生100年時代を生き抜くためにどう過ごすべきか」のヒントをこの本の中で示しています。
リンダ・グラットン氏は『連続スペシャリスト』というキャリアについて述べていて、「マルチプル・アイデンティティ」を持つことだと言っています。
「マルチプル・アイデンティティ」って何でしょう?
その前に、まず「アイデンティティ」といえば、心理学者のエリク・エリクソンが提唱した心理用語。
「他ならぬ《それそのもの》であって他の何者でもない」という状態や性質のことです。「自己同一性」(self-identity / セルフ・アイデンティティ)「自分は自分である」という自己認識です。
では、「マルチプル・アイデンティティ」は何かというと、属している会社だけで使える能力だけでなく、さらに第2、第3の仕事への知識や新しいスキルを高めていくという考え方を持つことだそうです。
人生100年時代では、複数の仕事に就くのが当たり前になり、「学んで、働いて、引退する」が人生で何回か訪れるからだそうです。
また、リンダ・グラットン氏は、これからのキャリアは自分のやりたいとか価値観だけでは決めずに、未来の変化し続ける価値観を予測して考えるべきだと述べています。
新しい仕事はどこにあるのか?を考え続けることだそうです。
他には、①その知識や技能が価値を生み出すことが広く理解されていること②そうした知識や技能を持つ人が少ないこと③それが模倣されにくいことだそうです。
これから沢山の仕事は、AIにとって変わるからでしょうね。
見えない資産って?
では一体これから、どんな生き方が良いのか?
お金の価値観も崩れていき、様々な価値観や暮らし方、生き方が多様化していきます。
金銭的な有形資産だけでなく、家族や友人関係、知識、健康といった「見えない資産」とのバランスをとることがますます重要となると本書では述べています。
リンダ・グラットン氏は「見えない資産」の要素に、「Productivity(生産性)」「Vitality(活力)」「Transformation(変身する力)」を挙げています。
では「見えない資産」を増やすためには?と考えてみました。
健康でいられる時期を伸ばし、社会との関わりを持ち続けること、リカント教育など学び続けること、また、変わりゆく時代にいかにしなやかに適応できるかが大切なのかなと感じました。
具体的に述べていきます。
人と人との繋がりを大切にする
これからは人と人とのネットワーク作りも大切になってきそうです。
どんな時代も、人との繋がりで得られる人の温もり、優し、サポートなどは、AIやロボットでは代用はできません。
心理社会的な面からも、人との繋がりは「孤独」を減らし、自殺や鬱を防ぎ、高齢者の認知機能の低下を遅らせたり、心理面の「安心」をもたらします。
不安で先の見えない時代だからこそ「安心」をもたらす関係作り=「見えない資産」を築くことが重要な鍵を握るのには納得です。
リモートで核家族化が進み、人との関係が希薄になっています。少子化で、高齢者を支える人もいなくなります。
みんなが社会で支え合って生きていく事が必要になってきます。
そこで、「見えない資産」のネットワーク(ソーシャルサポート)がある人とない人で、老後だけでなく、これからの生き方にも大きく影響してくるのではないでしょうか。

学び続けること
また、個人的には、シニアになっても「欲」を持つことが大切だと考えています。欲がなくなったら、生きている楽しみがなくなります。
私も欲まみれだから、再婚をしてパートナーも得たし、50歳でもまだまだ学び続けていきたいです。
リカレント教育も大切ですね。リカレント教育とは、知識や技術を得るために教育と就労を繰り返すことです。
そのためにも大人になっても学び続ける機会を増やす必要があり、社会人制度やシニア制度を設けている大学や大学院が増えました。
健康でまだまだ元気なシニア世代が、どんどん社会で活用され、今までの経験をリソースとして、新しい働き方で社会と関わりを持ち続けられる社会であって欲しい。シニアだからこその経験を社会に貢献していきたいものです。
政府は、『人生100年時代構想会議』で、基本構想を打ち出しました。
リカレント教育の強化あるいはマッチング機能の強化、企業の中途採用の拡大、さらには高齢者の就業促進、こういったことも盛り込まれていますので、労働移動の円滑化が進展すると期待されます。
出所:首相官邸HPの人生100年時代構想会議の議事録より
政府の女性の起用も気になるところです。
日本はまだまだ古い価値観が蔓延っていて、女性の労働参加が遅れています。
女性の活用も推進して欲しいと同時に、家庭を持つ女性が働きやすい社会環境の整備も、進めていく課題が大きな壁となっています。

「しなやかに生きる」レジリエンス力を身に付ける
ただでも先の見えない不安の多い世の中で、若者がアイデンティティを確立することが難しくなっています。※モラトリアムの時期も長くなっていくでしょう。(※青年期における自分とは何か?の模索のために社会的責任が免れる期間)
未来の価値を予測してこれからの仕事を考えると言っても、そんな簡単なことではないですし、予測したところで誰にも分からないのが未来です。
だからこそ、これからの時代は「どんな人生を望み、何を大切に生きていきたいのか?」の土台がしっかりしていないと、外からの影響を受け、揺れて不安だらけの人生になってしまいそうです。
そこで、どんな環境でも生き抜いていける「レジリエンス」を高める事が必要になって来そうです。「レジリエンス」とは、どんな辛い状況でもしなやかに生き抜く力、外的圧力を撥ね返す復活力や環境適応力のことです。
コロナ禍では、レジリエンスの「しなやかに対応していく力」でもって、今までのやり方に拘らずに柔軟に生き方を変えられたか否かで、大きな差が生まれたのかなと思っています。
レジリエンスを高めるには?
アメリカの心理学会は、以下の「レジリエンスを築く10の方法」を提唱しています。
- 親戚や友人らと良好な関係を維持する。
- 危機やストレスに満ちた出来事でも、それを耐え難い問題として見ないようにする。
- 変えられない状況を受容する。
- 現実的な目標を立て、それに向かって進む。
- 不利な状況であっても、決断し行動する。
- 損失を出した闘いの後には、自己発見の機会を探す。
- 自信を深める。
- 長期的な視点を保ち、より広範な状況でストレスの多い出来事を検討する。
- 希望的な見通しを維持し、良いことを期待し、希望を視覚化する。
- 心と体をケアし、定期的に運動し、己のニーズと気持ちに注意を払う。
レジリエンスは産まれた時から備わっている遺伝的な要因だけでなく、発達段階でも高められると言われています。つまり意識して取り組むことで、レジリエンスを高めることができるのです。
人生100年時代の生き方
人生100年時代をどう生きるか?
そこで鍵を握るのは、人生100年「健康寿命をいかに伸ばしていくか」「最後まで、どんな生き方をしたいのか」をしっかり意識して過ごしていくことでしょうか?
「自分の生き方」についてのアイデンティティを見直してみるのも良さそうですね!
歳を経たからこそ、社会に貢献できる知恵や経験を活かし、いつまでも欲を持って生きていけたらいいですね!